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わたしには姉がいます。
姉はラブラドールレトリバーの「くろぞー君」を飼っています。

日々の散歩のなかで、姉はくろぞー君を通して、
いろんな「ワンコ仲間」ができました。
(はい、どんど~ん、はい、じゃんじゃ~ん。これもわんこ)

ある日、姉のところに、
わんこ仲間、「花ちゃん」のお母さん(60代)から
電話がありました。

「ちび太くんのお父さんが救急車で運ばれたんですって!
わたしはこれからちび太を救出にいくから、
ちび太くんのお父さんがどこに入院したかを調べてちょうだい!」

ちび太くんのお父さんとは、
これまた60代のおっさんであります。
ずいぶん前に奥様と離婚され、現在はシングル。
まじで「おんぼろ小屋」に住んでいる、
ワンコが大好きな、気のいいおっさんなのだそうです。

ちび太くんのお父さん=おっさん は、
つい先日、救急車で運ばれました。
心筋梗塞でした。
不幸中の幸いとでもいいましょうか。
近所の奥さんがそれを目撃し、
ワンコ仲間の花ちゃんのお母さんに連絡したのです。

おっさんが救急車で運ばれ、病院で手当てをしてもらっているとき、
ちび太はひとりで家の二階にいました。

ちび太はチワワとまめ柴のミックスです。
とても小さいくせに、気だけは強く、
おっさん以外の人にはもちろんのこと、
ずうたいのでかい花ちゃんにも、くろぞー君にも、
いつもウーウーうなります。

でも、その日だけは違いました。
ちび太は、とても心細い気持ちで、
部屋の片隅でうなだれていました。

「とーちゃん、わしを置いて、いったいどこいったんや・・・」

以前、ちび太は二階から転げ落ち、骨折したことがありました。
それ以来、おっさんは階段の降り口に柵をつけ、
ちび太が降りられないようにしていたのです。

きっとちび太は二階でおなかを空かせてる・・・。
トイレだって我慢してるかも・・・。
花ちゃんのお母さんはすぐに家を飛び出しました。
おっさんのお家に着くと、
花ちゃんのお母さんは迷うことなく、
堂々と玄関を開けて二階に上がりました。

再度言いますが、おっさんの家はとてつもなくおんぼろで、
カギなんてありません。
誰でも入れるし、誰でも勝手に出て行けるのです。
それも幸いして、ちび太は無事に保護されたというわけなのです。

花ちゃんのお母さんがちび太を家に連れて帰っている間に、
姉は119番に電話をし、おっさんのいる病院を探しだしていました。

まずは電話で無事を確認しました。
しかし、おっさんは集中治療室に入っているとのこと。
花ちゃんのお父さん(これも60代。これもって・・・)と姉が、
ひとまず病院へ行くことになりました。

ご家族はどこで何をしているのかわからない、おっさん。
看護婦さんは姉と花ちゃんのお父さんを友人と理解し、
集中治療室に入れてくれました。

おっさんの体からは管が何本も出ていて、
機械につながれてぴこぴこ言っています。
目の辺りには黄だんが出ていて、
もちろん、意識はありません。

花ちゃんのお父さんは、
おっさんに何度も声をかけました。
姉はおっさんの手をとり、
はやくよくなって!と、何度もさすってあげました。



意識がなく、真っ暗な世界をさまよっているとき、
おっさんの前に誰かが現れました。
男の人と女の人。おっさんは、そのふたりを、
自分の死んだ両親だと思っていました。

「あぁ。おれもあの世に連れていかれるんだ」

おっさんはそう感じました。
しかし、男の人は一生懸命自分に何か話しかけています。
女の人は、手をずっとさすってくれています。

おっさんは目を凝らしました。
もしかしたら、天使なのかな。
それが何かを確かめるために、自分はおきなければならない。
そう感じたといいます。



2日後、おっさんの意識がもどりました。
数日が経ち、ワンコ仲間みんなの願いが届いたのか、
おっさんは少しずつ回復していきました。

天使の正体を教えたのは、看護婦さんでした。

おっさんは泣きました。
ワンコを通して知り合った散歩仲間たち。
手のかかるちび太を引き取ってくれ、
そして、病院を探し出し、自分を心配してくれているのです。
何よりも、ちび太が元気だった。
おっさんは手をあわせて感謝しました。

おっさんに身寄りはありませんでしたが、
たくさんのワンコ仲間が日替わりでお見舞いに来てくれました。
おっさんは幸せでいっぱいでした。



隣に誰が住んでいるかもわからない世の中。
しかし、まるで昔の長屋ぐらしの人たちのように、
現代という世の中で、
身元を知らない、でも、ワンコが大好きという仲間たちが
「放っておけない!」と、
ひとりのおっさんと一匹のワンコに手を差し伸べました。


おっさんはみんなの暖かい気持ちを胸に、
日々元気になりつつあります。


気が強かったチワワとまめ柴のミックス、
ちび太は、今では花ちゃんのお母さんの後ろをついてまわり、
いつもヒザにのって眠るそうです。

それでもちび太はたまに思います。



「とーちゃん、はよ帰ってこないかなぁ。
ぼろい家でもいいから、とーちゃんとまたあそこで暮らしたいなぁ」





心暖まる、2006年初秋の出来事です。





* このお話には、おまけがついています。
  勇気のある人は下をクリック




正直、読まないほうが、いいかもしれません。




おまけ。



ワンコ仲間のなかでも、ひと際気さくに話ができる姉は、
おっさんのお気に入りでもあります。

おっさんは、3日にいちどは顔を出してくれる姉に、
「家から着替えをもってきてー」とお願いしました。
角の八百屋のおばさんが部屋の内部をよく知ってるからと、
一緒に入って探してもらって!と頼まれました。

姉は快く承諾し、欲しいものメモを取りました。

最後に、おっさんが申し訳なさそうに
「お願いがあるのだけど」と言いました。


「二階の部屋の新聞入れのなかに、お金が少し隠してあるんだけど、ビデオ屋から借りたDVDをそれで返却してくれないかなぁ」


姉は、笑いながら「いいよ~」と答えました。


おっさんはさらに言いにくそうに、こう続けました。


「本当は●●のオヤジにお願いしようと思ったんだけど、この間頼み忘れちゃって・・・。中に1本えっちなのが入ってるんだよ。ごめんね~」





実のところおっさんは、
そのDVD返却が気になってこの世に戻ってきたのでは!!!
chichiはこっそり、そう思ってしまいました。





「趣味趣向を知らないためにも、タイトルを見ないままに返却しておきますから安心してください」

姉の気さくな返事に、おっさんは、もう思い残すことはない、
という顔をしたとかしなかったとか。








これは、実話です。






=エンドロール=

登場人物
(初回登場順による)


くろぞー君
花ちゃん
花ちゃんのお母さん
ちび太くんのお父さん=おっさん
ちび太くん
近所の奥さん
花ちゃんのお父さん
おっさんのご両親(雰囲気だけの出演)
看護婦さん

スペシャルサンクス

八百屋のおばさん
●●のオヤジ




語り=chichi





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